恒星の大家,Eddington
2008-12-30


UK-JAPAN2008のクリスマス企画で書いているイギリスの物理学者の話です.今日はアーサー・エディントン(Sir Arthur Stanley Eddington,1882〜1944年)です.
クエーカー教徒の両親のもとに生まれたエディントンは,2歳の時に父を亡くし,母親の手で育てられます.16歳の時にマンチェスター大学に入学し,物理学を専攻します.この時点で既に数学と天文学において素晴らしい才能を示していたようです.1902年に卒業し,翌年にケンブリッジ大学のトリニティカレッジに入学します.1905年に修士号を取得してキャベンディッシュ研究所に移ったものの,物理学では芳しい成果を挙げられなかったようです.そこで数学に専攻を変えますが,そこでもいい成果が挙げられませんでした.
1905年の終わりにグリニッジ天文台の助手として勤務します.ここが転機でした.小惑星 Eros(433番)の視差を解析する新たな統計的手法を確立し,1907年にスミス賞を受賞します.このことによりケンブリッジ大学のトリニティカレッジの特別研究員となります.1912年にはダーウィンの息子がついていた教授職に推薦され,さらに翌年にはケンブリッジ天文台の台長になります.
エディントンの挙げた業績の中で大きなものの一つは,1919年に行った皆既日食の観測です.一般相対性理論に依ると,太陽の重力により背後の恒星からやってくる光が最大1.75秒(1秒は1/3600度)曲がる事が予言されました.この予言が正しいかどうかを検証するのに,太陽の光が遮られる皆既日食の機会が必要でした.そこでエディントンはアフリカに行って観測し,検証を行いました.もっとも,この観測結果が決定打になったかどうかは,近年は疑わしいようです.
また,エディントンは恒星の内部の理論を徹底的に研究しました.現在ではエディントンは恒星の研究の大家として知られています.特に恒星の中で重力とガス圧がどのように働くかという物理過程を明らかにしています.この結果は現在,エディントン限界と呼ばれる恒星の光度の限界として知られています.また,恒星が核融合で輝いているという事を初めて提唱しています.
専門的な研究だけでなく,エディントンは一般向けの本を沢山書いています.中には現在でも販売されているものもあるようです.
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