UK-JAPAN2008のクリスマス企画で書いているイギリスの物理学者の話です.
スティーブン・ウルフラム(Stephen Wolfram,1959年〓)の続きです.
1980年にわずか20歳で博士の学位を取得した後,ウルフラムはすぐにカリフォルニア工科大学で教授に就任します.当時はファインマンも在籍しており,「ここで次にノーベル物理学賞を受賞するのは彼だ.」と言わしめたといわれています.
その後も素粒子論,宇宙論で様々な研究を進めていきますが,途中で不思議な研究も行っています.1980年に
Computer Algebraの講演を行っています.これはコンピューターで代数計算を行うシステムの事です.そして1981年にこのアイディアを実現したソフトウェア SMP (Symbolic Manipulation Program) を商業リリースします.
理論物理学の計算は,素粒子論,宇宙論で大変複雑なものです.私が行う研究でも,等号の後がノート1ページ以上に達する計算がしばしばあります.こういう計算を簡略化するために,ウルフラムはコンピューターを用いた計算の実用化に至ったのではないでしょうか.
この後,ウルフラムの研究対象は徐々に別分野に移っていきます.進化の計算モデルとして考えられる,セル・オートマトンについて取り組み始めます.規則は単純であるものの,その振る舞いは非常に複雑であるという
複雑系と呼ばれる分野の研究です.この分野でも,23歳で「最先端の物理学をまとめあげた論文しか載らない雑誌」に研究成果を発表します.
- Statistical Mechanics Of Cellular Automata
Rev.Mod.Phys.55, 601, (1983)
その後ウルフラムは1983年にカリフォルニア工科大学から
プリンストン高等研究所に移り,1986年にイリノイ大学に移ります.そして1986年に複雑系研究の学術センター Wolfram Research Inc. を設立します.
Mathematicaは1986年から開発を始め,1988年にバージョン1がリリースされます.2008年秋,バージョン7がリリースされ,機能がますます拡充されています.
ウルフラムはMathematicaの開発とともに複雑系研究を続けています.この成果は
A New Kind of Science�禺画像]という本に2002年にまとめられています.Mathematica のマニュアルに負けず劣らずの大著です.
�セコメントをする